alexei aigui

「CAPRICE PORTAMENTO ISLAND」(MAVI KEMAN RECORDS BRDS−1010)
ALEXEI AIGUI & KEISUKE OHTA

 邦題は「ポルタメント島奇想曲」である。ロシアのアレクセイ・アイギと日本の太田惠資というふたりのヴァイオリン奏者による即興デュオである。アイギはたしかヒカシューともつながりがあるひとで、これは興味深いなあ、すごく前衛的なものかそれとも……とかなり身構えて聴いたのだが、実際はとても楽しい、ふたりのがっぷり四つの演奏で、どの曲も深くて、工夫が凝らされていて、めちゃくちゃ面白かった。ふたりともテクニックも音楽性も凄いのだが、シリアスかつリラックスして、演奏を楽しんでいることがよく伝わってくる。曲ごとのバラエティもすごくて、クラシカルなもの、ジャズっぽいもの、フリーなもの、ヨーロッパ街角風のもの、日本風の旋律、パーカッシヴなもの、ヴォイス……などなど、まったく飽きない。ヴァイオリンの名手がふたりそろうと、ここまでいろいろなことができるのか、と思う。そして、タイトルの「ポルタメント島奇想曲」というのは、まさにぴったりの名前だと思った。聞き終えると、やはり「ヴァイオリンを堪能したな」という気持ちになるのだ。