「コズミックチューブと無限の皮膜 COSMIC TUBE AND INFINITE SKIN」(A.L.U.1)
アヴァンギャルド労働組合 A.L.U.”AVANT−GARDE LABOR UNION”
いつ買ったのか、どこで買ったのかも覚えていないのだが、なんかのライヴの物販だろうか。めちゃ面白いのであります。ものすごくオーソドックスな「フリージャズ」の語法に基づいた演奏なのだが、非常に手応えがあり、聞き流すことはできないタイプの演奏。愛知県と京都を中心にしたユニットだそうだが、東京におけるこういう音楽があわただしく日々更新されていく、というか、先へ先へと進んでいく途中でなくしていった大事なものが、ここにはすべてある。それは、アイラーやファラオ・サンダースやシェップ……といった手探りで新しい音楽を模索していた開拓者たちの初期演奏のテイストであって、インプロヴィゼイションを「手慣れた日常のもの」「ただの手法のひとつ」とする現在の奏者とはちがったはらはらどきどきわくわく感がここにはちゃんと残っている。おそらく確信としてあえて残しているのだろう。アルトが主のアカノシバヒト、テナーが主の真野一彦、そしてふたりのドラマー(宮崎康典、三木勇)という4人だが、オーソドックスな音楽の基本もあるひとたちだということは聴いたらすぐわかる。しかし、そういうものを一旦捨てて、なにかちがうものを探求したいという気持ちが痛いほど伝わってくる。曲ごとに編成も変わるが、基本的には「めちゃくちゃ上手い、古いタイプのフリージャズ」だと思う。古いタイプというのは悪口ではなく、60年代のあの「どうしたらよいのかわからん」と言いながら音を出していたころのテイストがいまだに感じられる、という意味であって、アコースティックでゴリゴリいう演奏、と言うだけで私などは歓喜する。でも、ただのパワーミュージックは嫌なのだが、そんなことは(少なくともこのアルバムで聴くかぎりは)微塵もない。すばらしいアルバムだと思います。だれがリーダーというわけでもないのだろうが、便宜上アカノシバヒト氏の項に入れておきます。