yuji akita

「YUKIKAZE」(GAIA DESIGN GAIA−1005)
NEGATIVE SON

 本作が録音されたという話を耳にして、発売を待ちこがれていたが、とうとうこうして形になったのを手にとって、感無量である(べつに当事者でもなんでもないのだが)。というのも、札幌にネガティブ・サンという、アホな名前をつけた凄いバンドがあるらしい、という噂をきいて、ずっと聴きたい聴きたいと思っていたのだが、なかなかアルバムをだずのはむずかしいだろうなあ、と半分あきらめていた。それが、ついに1STを出したのだから、うれしいじゃないですか。わくわくして聴いてみると、期待は裏切られることはなかった。いやー、いいっすね。予想に反して静かな曲ではじまるが、このからみの過激さは聴けば聴くほどくせになる。リーダーでエレベの秋田祐二さんが、エレベならではの鋭さとウッドベースの深い表情をあわせもったベースワークで、グループを牽引しているのがよくわかる。そしてピアノは現在人気急上昇の石田幹雄なのだから、悪いはずがない。そして、ドラムも個性的で、このふたりを包む包容力があって、じつにこのバンドに適任だと思う。ラストはなんと(このバンドをいつも生で聴いているひとには、べつに当たり前なのだろうが)「スーパー・サファリ」で(これをタイトルにしようという案もあったらしい)ひっくり返る。もっとひっくり返るのはCDの帯に「目ざめよ音楽人間」とあることで、これはTDKのCMにネイティヴ・サンが出ていたときのキャッチである。アホなようなシリアスなような、妙な感性のアルバムである。つぎはぜひ、ライヴ盤を期待。というか、生で観たいので、関西ツアーをお願いしたい。