harry allen

「DOWN FOR THE COUNT」(SWINGBROS CMSB−28016)
HARRY ALLEN QUINTET

 かなり期待したのだが、正直いっていまいちだった。ベイシーの曲はたしかにハリー・アレンにぴったりだと思ったし、それによって、いつものアレン節になんらかの良い変化があるかと思っていたのだが、結局、あいかわらずのんびりした感じであった。音も、ときに濁らせたりしてヘヴィーに迫る部分もあるのだが、とくに個性的なすごい音というわけでもないし、フレーズに関しては、いつものようにええとこどりで、スウィンガーなのだからもっと自由に奔放にラフに吹けばいいのに、どういうわけかいつも無難にまとめてしまう。そのあたりをベイシーのカンザスジャズの精神がほぐしてくれるか、と思ったのだが……。せめて、ドラムにブッチ・マイルスやダフィー・ジャクソンを起用するとか、いつもとちがった人選でハリー・アレン本人にベイシーの息吹き(?)を感じさせるようなチョイスはなかったのか。単にベイシーナンバーを演ってます、というだけの作品になっていると思う。