luther allison

「LIVE IN CHICAGO」(ALLIGATOR RECORDS ALCD4869)
LUTHER ALLISON

 傑作! 1997年に亡くなったルーザー・アリソンだが、本作はその1997年のライヴ。正直、とても死ぬとは思えないぐらいギトギトでパワフルな最高のライヴ。オーティス・ラッシュらと同期のシカゴモダンブルースのひとだが、ラッシュよりももうひとつアンラックな感じで、せっかくの充実盤を作ったのにいまいちむくわれず渡欧。ヨーロッパでも活躍したが、アリゲーターと契約してふたたびアメリカに戻る。このアルバムでもそのラッシュとの共演(シカゴ・ブルーズ・フェスティバル)がひとつの目玉になっているが、凄まじい個性のぶつかり合いによる爆発的なライヴとなっている。曲調もいかにもモダンブルース的で、ソウルやR&Bの影響がモロな感じだが、オーティス・ラッシュなどと比べても、このギトギトたっぷりな感じがけっこうぎりぎりである。渾身のギター、そして渾身のボーカルで、ホーンセクション、オルガンなどを含むバックもそれを盛り立てている。最高のブルースライヴパフォーマンスで、めちゃくちゃかっこいいとは思うが、なにしろヘヴィ級の手応え、歯ごたえなのでしょっちゅう聴くというわけにはいかない。5曲目のギターとの対話(?)とかいろいろギミックも放り込まれていて、客を飽きさせない工夫がされているあたりはエンターテインメントやなー、と思うが、とにかくギターもボーカルも趣向もなにかもかも脂ぎっている。でも、それはいいことだ。脂ぎっているのと同じぐらい同時に細かい点にも気配りができていて、聴きごたえ抜群である。それぐらい傑作ライヴだとは思います。これがヨーロッパ移住で生み出したドファンキーブルースなのだろうか。でも、死んだらあかんがな。ラッシュとの共演曲(「ギャンブラーズ・ブルース〜スウィート・リトル・エンジェル」)はまさにソウルブラザーの共演という感じで手に汗握る力の入った演奏。2枚目も充実の内容で、とにかく気合いというか気迫というか神がかっている。2枚組全18曲中12曲がアリソンの曲(あるいはここではサイドギターを弾いているジェイムズ・ソルバーグとの共作)というのもすごい。大傑作だと思います。曲もモロのブルースとソウル〜R&B系の曲の配分もちょうどいいような気がする。ただし、今の私にはこの充実濃密過激な二枚組を一度に聞きとおす体力がない。一日に四分の一ずつぐらいでちょうどいいかも。以上、ブルースをよく知らない人間の感想ということで。きーっ、かっこええっ! さすがである。さすがの貫禄、さすがの技術、さすがのブルースフィーリング、そしてさすがのホンキングである。どの曲を聴いても、リー・アレンの、ほかのブロウテナーが足下にもおよばない演奏能力の高さを感じる。そして、盛り上げ方も堂に入ったもので、ぜったいにツボを外さない的確な攻撃をみせるが、その合間に示すフレージングはジャズテナーの王道を行くものだ。意外にもバップっぽいフレーズも駆使するが、なにを吹いても、すばらしい音色とリズム、アーティキュレイションがあるので、聴いていて違和感はまったくない。また、バラードは徹底的に泣かせまくる。嫌らしいまでのサブトーンで朗々と歌いあげ、ブルースシーンではよく知られた名手だが、ジャズシーンでも大活躍できたのになあ、と思ったりする。たいへんな音楽性の持ち主なのだが、その片鱗がこのアルバムで十分わかる。白人のストリッパーが踊っている横でリー・アレンがテナーを吹いているジャケットもチープで最高。あのヒット曲「ウォーキン・ウィズ・ミスター・リー」も入ってます。