「NYJPN」(MAGAIBUTSU LIMITED MGPK−01)
PAK−RON ANDERSON TATSUYA YOSHIDA NONOKO YOSHIDA
今から絶賛します。こりゃあすげえわ。PAKというバンドだそうだ。ペットボトルニンゲンと同じ、アルト〜ギター〜ドラムという編成だが、音楽性として共通の部分もあるし違った部分もある。これは当たり前のことだが、私は共通点のほうを強く感じた。つまり、現代的で、コンポジションが良くて、リズムがめちゃくちゃ凄くて、フリージャズ、プログレ、ハードロック、ノイズ、フリーインプロヴィゼイションなどの要素が混沌とではなく見事にブレンドされて、超かっこいい状態で放出されている……という部分は一緒ではないか。ペットボトルニンゲンのほうが柔軟で、深い狂気を感じるが、こっちのほうがよりストレートで、ハードコアな感じ。まあ、比較する意味はないな。とにかくめちゃくちゃ気に入った。吉田達也とアルトというと、小埜涼子とのあの凄まじいサックス・ルインズを思い浮かべるが、本作での吉田野乃子もめちゃくちゃいいんだよー。ギターの剛腕なフレーズ、アルトの激しいリフ、ドラムのキチガイじみた煽り……3者が一体となったえげつない大爆発を本作の中で何度も何度も何度も何度も体験した。オーバーダビングなどもほどこされているので、スカスカな部分もあり、分厚い部分もあって、サウンドの構築としてもええ感じ。コンポジションとアレンジを押し出した曲もあるが、全部即興っぽい曲もあり、どちらも同等のクオリティで、分け隔てがされていない。3人がひとり欠けてもこのサウンドにならんというのもペットボトルニンゲンと同じ。このCDを聴いてかっこよく思わないひとはこの世にいないのではないか。変拍子のめちゃムズいテーマだけでなく、ちょっとしたリフですら、彼らにかかると異常に凄い音楽になってしまう。えげつないセンスとえげつないテクニックが、ごくあたりまえに融合して、こういうことになってしまうのだ。ああ快感。ここには音楽における快楽のすべてがある……とか大げさなことを書きたくなってしまうほどめちゃめちゃ快感。これが3人やで。入手しやすいのかしにくいのかはしらないけど、ペットボトルニンゲンのファンは全員聴いたほうがいいですよ。あ、そうそう、1曲は短いのに、ものすごく濃くて中身がびっしり詰まっているので、聴いてると疲労困憊しつつも同時に元気が湧いてくるという点でもペットボトルニンゲンと共通してるな。