「BUZZ BUZZ SHOO−BE DOO−BEE」(TOKUMA JAPAN/VIVID SOUND PIB−002)
JAZZY LIVE JIVE LIVE AT THE JIROKICHI
ボーカル〜テナーサックスの藤井康一とボーカル〜ギターの吾妻光良がフロントのジャイヴというかジャンプの傑作。藤井のテナーは音色といいフレーズといい、ほかのアルバムでも十分知らしめているが本作がいちばんストレートに表現していると思う。ジャイヴというかジャンプ(このふたつがはっきりちがうのは私もわかってはいるがここはざっくりした感じにしときます)は、もちろんガンガンジャンプするブルースナンバーもあるのだが、こんな風にブルースっぽさを押し付けることなく、小唄とか循環とかあるいは歌詞の意味に重点を置いた曲などが中心になり、ということは必然的に藤井のボーカルが中心になる。ペンペンした吾妻のかっこいいギター、藤井のリー・アレンのような短くても完璧としかいいようがないテナーを聞いていると、一瞬、リー・ドーシーかなにかの極上のR&Bのアルバムを聴いている気持ちになる。それをプロデューサーでもある山崎のブラッシュワークなどなどが盛り立てる。吾妻のまるでサックスを吹いているような、一音一音しっかりと「歌」になっているギターがすばらしい。ゲストの藤井キョンが加わる「アイ・ガット・リズム」も手垢がついた感じではなく、いい雰囲気である(まさにジャイヴ)。考えてみるとブルース形式の曲は1曲目(クリーンヘッドのヒット曲)とラスト曲(ロイ・ブラウンのヒット曲)しかないのだが、吾妻さんのギターソロはブルースではない曲でも音色、リズム、歌心でしっかりと演奏され、心を揺さぶられる。とくに8曲目の「トゥー・スリーピー・ピープル」はホーギー・カーマイケルの曲でめちゃくちゃ好きな曲です。ほんまにカーマイケルはええ曲書くなあ。サビのメロディの良さなど感涙ものですよ。9曲目のデュエット曲もめちゃくちゃすばらしいが、歌ももちろんいいんだけど、テナーソロとギターソロが良すぎる。10曲目の「ブルー・スカイズ」は藤井の「ウクレレでごめんね」でもやっている。これもええ曲や。たいへんな傑作だと思います。しょっちゅう折に触れて聞き返します。一応ジャジー・ジャイヴというバンド名になっていて、だれがリーダーともいえない演奏だが、最初に名前が出ている吾妻光良の項に入れておきます。