「INTRODUCING EDDIE BAREFIELD」(DISCOMATE DSP−8101)
EDDIE BAREFIELD
これは大事なアルバムで、おりにふれ取り出しては聴く。ルー・タバキンがプロデュースしたアルバムで、私もこれを聴くまで、エディ・ベアフィールドって誰? と思っていたぐらい知識は皆無だったが、ええ年のジジイなのに、タイトルが「イントロデューシング」ってどういうことやねん、と思い、たしか学生時代に思い切って買ってみたのだ。ジャケットに写っている、マウピをくわえた風貌もなかなか面構えがよくて、よくあるでしょう? 音が聞こえてくるようなジャケット。あれなんです。だから、直感を信じて買ったのである。聴いて、まず思ったのは、テナーの音色が「いまどきやない」音だということだ。硬質で太く、コールマン・ホーキンスのような音なのである。本作録音時点で70歳だから、今生きていたら100才である。音と同様、演奏も硬質で、いわゆる「ラプソディック」というやつ。まさにコールマン・ホーキンスを彷彿とさせる。ずっとアルトとクラリネットを中心に吹いてきたのに、70年代になってからテナーに持ち替えたらしいが、それにしては凄い音だと思う。アルト吹きの音ではなく、まさにテナーらしい音である。演奏は、たとえば「アンソロポロジー」とかもやっているのだが、ソロはしっかりしたスウィングスタイルである。このアルバムを聴いてると、なんだかほっとするのだ。アドリブがすごい、とか、歌いあげがすごい、とかそういったものを超越して、生きざまを見せられているようで感動する。