「BROLT!」(BOMBA RECORDS BOM3803〜4)
SCORCH TRIO
北欧一過激なノイズバンドだというので聴くまえにはかなり身がまえたが、聴いてみればそんなこともない。じつに聴きやすい演奏だった。どっちかというとジャズよりかもしれない。とくにギターのひとはもっと大暴れするのか、と思っていたが、きちんと弾く。ギターがパワーで押し切るようなノイズの嵐……みたいなものではなく、ドラム(ニルセンラヴ)とベース(フラーテン)とのインタープレイというか応酬を楽しむべきアルバムだろう。聴き手が想像力を挟み込む余地も十分にある、私の好きなタイプの、いわゆるスカスカな演奏だ。ただ、どの演奏も長いので、ややダレるところもあり、ちょっと聴き手の集中力が続かないところがある。それはたとえば高柳昌行やデレク・ベイリーといったひとたちの異常に高いテンションに比べると、やや低い、普段着のテンションだからではないか(それでも相当高いんだけどね)。結局、私には管楽器(とくにサックス(とくにテナー))の入っていない音楽というのはわからんのだと思う。でも……アルタード・ステイツとか高柳さんとかはよくわかる(というか楽しめる)んだけどなあ。つまりは好みの問題なのか。おまけの二枚目も含めて、二回聴き直してみたのだが、やっぱり「そこそこかっこええけど、キーッとならんなあ」という印象はかわりませんでした。たぶん、もっとアナーキーな感じだと勝手に思っていたのだろう。もっと、繊細な駆け引きを楽しむバンドでした。