willem breuker

「THE NEW ACOUSTIC SWING DUO」(INSTANT COMPOSITIONS POOL ICP001)
HAN BENNINK WILLEM BREUKER

ウィリアム・ブロイカーのキャリアのなかでは、そうとう初期のころの演奏。記念すべきICPレーベルの第一作でもある。といってもブロイカーは1959年に初吹き込みをしているから、この時点でもレコーディングキャリアはけっこうあるが、それらはオランダにおけるフツーのジャズだと思われる。ディスコグラフィをぼんやり眺めてみると、66年のレコード(コンテンポラリー・ジャズ・フロム・オランダという、自身が全曲作曲とアレンジをしているアルバムで、ハンス・ダルファーも参加しており、コンボのほうではミシャがピアノを弾いている)ではバスクラリネット、ソプラノ、アルト、バリトンそしてピアノにドラムまで演奏しており、多楽器奏者の面目躍如で、後年のコレクティフにつながっていく感じ。66年にはグローブ・ユニティやギュンター・ハンペルグループなどのアルバムがでているが、本作はその一年後、67年の作品。もっというと、ブロッツマンの「マシンガン」はそのまた一年後、68年である。このアルバムにおけるブロイカーは、タイトルどおり、まさしくアコースティックでジャズ(スウィング)に根ざしたシンプルでプリミティヴなコールアンドレスポンスを聴かせてくれる。はじめて聴いたときには、ああ、こういうデュオが自分の理想だな、と思ったこともある。今では、そこまでの思い入れはないが、いい演奏であるという思いはかわらない。逆に、このアルバムの時点でのブロイカーはたとえばブロッツマンにも似ていて、一種の模索期だったようにも思え、そののちのコレクティフでの幅広く、独創的な活躍を知ってしまうと、このアルバムはまだまだ過渡期やなあ、という気持ちになったこともあったが、今は、そういったブロイカーのすべての「原点」のような感じで愛聴している。そして、75年からブロイカーはコレクティフを率いて大活躍することになるのである。