「TRUE BLUE」(BLUE NOTE ST−84041)
TINA BROOKS
ジャズ喫茶でしか聴いたことがなく、あるひとがレコードを全部処分したときにもらったレコードのなかに入っていた一枚で、家で聴くのは今回がはじめてなのだった。ティナ・ブルックスは、すごくいい音のテナーである。「音色」がすでに雰囲気を持っている。でもフレーズとかノリは変なのだ。個性はあるのだが、本作においても、それが一番いい形で発揮されなかったと思う。ソロを聴いているかぎりでは、微妙なニュアンスを大事にする、かなり繊細なひとだと思う。なんというか、屈折した感じのブルーなソロを聴いていると、たしかに「トゥルー・ブルー」だよなあ、と思ったりして。ハバードの元気さ、というか、屈託のないアホな感じが目立つ。曲はどれもよくて、いかにもハードバップな名曲ぞろいだと思うが、ソロになると、突然、よくも悪くも「個性」の世界に入ってしまう。そこがよくて、そこが悪い。