kenny burrell

「MIDNIGHT BLUE」(BLUE NOTE RECORDS ST−84123)
KENNY BURRELL

 なんでかわからんけど、このアルバムを今、毎日一回ずつ聴いているのだ(前半後半半分ずつですが→ジャズ喫茶方式)。ジャズ喫茶で聴いたっけなあ……ぐらいのアルバムで、ずいぶんまえ、あるひとがLPを全部処分するからあげるよ、と言われてもらったなかに入っていたのだがなにしろLPなので滅多に聴く機会がないままだったが、オーティス・ラッシュの生涯の愛聴盤だった、という話を聞いてCDで買い直す気になった。そもそもケニー・バレルというひとは私とはあまり相性がよくなくて、いや、ちがうな、もっとはっきり言うと(チャーリー・クリスチャン系の)ジャズギターというものそのものが私にはあまり関心がなくて、ほとんど聴いたことがないのだ。大好きなのはグラント・グリーンぐらいでしょうか(グラント・グリーンはめちゃくちゃ好き)。ハーブ・エリスとかバーニー・ケッセルとかタル・ファーローとかジョー・パスとか……いいとは思うのだが、あまりなじめなかった。ジャズギター(?)がいい、と思ったのはブラッド・ウルマー以降なので、それからビル・フリゼールとかユージン・チャドボーンとかフレッド・フリスとかマーク・リボーとかハンス・ライヒェルとかを聴くようになった(あのころは内橋さんが「好き」と言ってたミュージシャンは全部聴いていた)。フリーインプロヴィゼイションの方では、好きなひとは山のようにいるし、ブルーズのひとも大好きなひとが多いのだが、なんでかジャズギターだけいまひとつピンとこないのだ。中学のときにギターで「宵待ち草」や「禁じられた遊び」を弾いていた私なのに……。というわけで購入して、毎日一回、自分を縛り付けるようにして聴いてるのだが、たしかに渋いし、極楽サウンドだし、いつまでも心地よく聴いていられるが、どうしても耳はタレンタインのテナーに行ってしまい、肝心のケニー・バレルがなにをやっているかはいまひとつ入ってこないのだ。たぶん、ジャズギターと私は相性が悪いのだと思う。でも、だとしたらなぜグラント・グリーンだけ好きなのか、という理由がわからん。まあええけど。おそらくジャズギター好きの人にとっては宝物のようなアルバムだと思う。私も好きですが、たぶん本当にはわかってないのだ。ただ、フリージャズとか、モードジャズ的な激熱に狂った演奏ばかり聴いている合間に、このアルバムを聴くと、ふ……と我に返るというか、このクールさに頬っぺたを叩かれて正気に返るという感じになる。当時のブルーノートだから、オルガンとかが入って、ガーッ! と勢いに任せた演奏になってもおかしくないのに、だだっぴろい空間がある、かなりスカスカな音楽で、そこにコンガも入ってめちゃくちゃクールである。こういう演奏を定期的に摂取するのは意味あることだと思います。