「TRIO」(FMP CD136)
CHRISTMANN−GUSTAFSSON−LOVENS
トロンボーンのギュンター・クリストマンと、マッツ・グスタフソン、ポール・ロブンスという3人による即興。マッツといえば、最近は「ザ・シング」で過激なリズムに乗って大音量でぶりぶりごりごり言わしている印象が強いが、本作ではまるでエヴァン・パーカーのような正統的(?)インプロヴィゼイションを展開していて、ちょっとびっくりした。録音日をよく見ると、アルバムが出たのはついこないだだが、録音はけっこう古くて、10年ぐらいまえなのだ。なるほど、それならわかる。このころのマッツはバリー・ガイなどとこういった伝統的な即興に明け暮れていたはずだ。ヴァンダーマークとAALYトリオ+1などで暴虐的にまで激しいオーバーブロウをしまくるのはこれより少しあとだ。もちろん本作も、メンバーは最高の顔ぶれなので、内容が悪いわけはないが、今の仁王のような悪鬼のようなマッツを期待してしまうと、やや違和感があるかも。まあ、本質的にはそんなに変わってないわけですが。3人のなかではさすがにギュンター・クリストマンがトロンボーン(とチェロ)から変幻自在の音を引きだしていて見事。なお、3人対等の即興だが、最初に名前のでているクリストマンの項にいれた。