steve coleman

「INVISIBLE PATHS:FIRST SCATTERING」(TZADIK TZ7621)
STEVE COLEMAN

  これはなあ……あのスティーヴ・コールマンの初の完全ソロアルバムで、しかも、世界中を旅してきた成果が詰まっているようなことをきいて、ものすごく期待したのだが、正直言って、全編、個人練習を聴かされているような感じ。ソロならではの自由さとか、奔放さとかとは無縁で、ずっと一定のリズムのうえで、バップに基礎を置いたようなラインを延々吹くのを聴かされる。これはちょっとしんどい。めちゃめちゃうまいし、意欲は伝わってくるし、すごくシリアスな音楽であることもわかるし、本来なら私好みの演奏のはずなのだが、ソロである必然性がどーもいまいちよくわからないし、やっぱりどうしても途中で飽きる。でも、昔はコールマンの平坦なアルトの音が嫌いだったが、このアルバムでは余計な夾雑物がないからか、それとも本人の音色に対する考えが変わったのか、非常に好ましく聞こえた。一部のコールマンフリークには熱狂をもって受け入れられるような気がするが、私はちょっとパス。