「CATTIN’ CURSON」(MARGE01)
TED CURSON QUINTET
一曲目のモード曲を聴いて、うわー、失敗したか、と思った。それぐらい、この曲でのカソンはドツボで、フレーズは出ないし、指は回らないし、それを気合いでカバーしようとして大味な演奏になってしまっていて、最悪である。つづいて出てくるクリス・ウッズのアルトのほうがまだましだ。そういえば、クリス・ウッズも自己のアルバムでモード曲をやったとき、よれよれだったなあ。とにかく、バップのひとが時代の要請か、下手にモードナンバーに手を出すとろくなことはない。2曲目のブルース以降はなかな力強い演奏が続くので、一曲目がよくないのは、「モードナンバーだから」という理由しか考えられない。それを一曲目にもってくるというのも、意味がわからんが、とにかく印象が悪すぎる。ところがどっこい、二曲め以降はクリス・ウッズはもとより、テッド・カーソンもめちゃめちゃいいのである。バックはジョルジュ・アルバニタス・トリオなので文句のつけようがない(すばらしいピアノソロが随所にある)。そして、本作の特筆すべき点は、テッド・カーソンの作曲の才能であろう。どの曲もすばらしい。一曲も(作曲として)外れがない。これはすごいことではないか(もっとも3曲めは、ほかの曲の別テイクというか演奏風景スケッチ的なものだが)。ええ曲書くなあ、このおっさん。アレンジもいい。ほかのメンバーも、その曲を理解しているのがよくわかる。とくにクリス・ウッズはフルートもいいし、ほんと大活躍である。というわけで、個人的にはクリス・ウッズが聴きたいから買っただけなので、そういう意味ではウッズが全編活躍しているから満足ではあるが、とにかく一曲め……これさえなかったら傑作とはいわんでも、かなりいい感じになったのに、なんでこの曲を……。