jean derome

「UN MOMENT DE BONHEUR」(VICTO CD 087)
JEAN DEROME/LOUIS SCLAVIS QUARTET

 ヨーロッパのこのあたりのことを全然しらないので、ジーン・ディロームというひとのことがよくわからないが、このアルバムはとにかくめちゃめちゃ凄い。どうしてこのアルバムを買ったのか、今となっては覚えていないのだが、いやー、よく買ったもんだと自分の判断をほめたい。ジーン・ディロームってアルトとフルートのひとだから、ふつうなら絶対買わんもんなあ。スクラヴィスにひかれて買ったのだろうか……謎だ。聴いていると、最初から最後まで、音楽というものはこんなにすばらしいのか! という喜びがあふれてくるアルバムで、とにかく「爆発的」な音楽である。音符と音符が衝突して、ものすごいエネルギーとともにハレーションを起こしているような印象である。即興演奏に技術は必要かという議論が昔からあるが、こういう演奏を聴いていると、そういう議論がばかばかしく思える。ここで一瞬の停滞もなく圧倒的なスピードとともに繰り広げられている音楽は、作曲と即興が完璧に融合し、そこにすさまじいばかりに高度な技術が奉仕している……という「演奏」の理想型である。これは……言葉では説明できん。ベースもドラムもめちゃええ。このアルバムを一言で言いあらわすと、「ひたすら」だな。「ひたすら」な感じの演奏だ。だまされたと思って一度聴いてください。絶対ええって。なお、双頭グループだと思うが、一曲をのぞいて残りを作曲しているジーン・ディロームの項に入れた。