jorrit dijkstra

「GNOMADE」(SKYCAP RECORDS CAP035)
THE FLATLANDS COLLECTIVE

 フラットランドというのだから、オランダのアルバムかと思っていると、メンバーはジェブ・ビショップやフレッド・ロンバーグホーム、ティム・マルヴェナなど、シカゴ面子なのである。リーダーのジョリット・ディクストラ(と発音するのではないとは思うが、読めん)というアルトサックス奏者がオランダ人で、彼がシカゴを訪れて録音した意欲作である(……と思うが、もしこのひとはじつは現在シカゴ在住だったりしたらご勘弁を)。たぶん年齢がほぼ同じぐらいの世代のミュージシャンの集合体なので、曲(これがまた意欲的というかアイデア豊富なものが多いのだ)も全員が持ち寄り、それを「バンド」として解釈しての演奏になっているので、非常に手堅い感じはする。ヴァンダーマーク5的なところもある(メンバもかなりかぶってるしね)。私の好みとしてはもう少しむちゃくちゃになってくれたほうがいいが、曲もソロも集団即興もきわめてハイレベルなうえ、とても真摯な演奏で好感が持てた。「ロングトーンズ」という、ロングトーン主体の曲とか、「ミュート」というミュートトロンボーンと(手でミュートしているような音の)アルトサックスによる即興デュオとかもおもしろいし、ドルフィー的テーマの曲も多く、アルト、クラリネット、トロンボーンという変則的3管に、チェロ、ベース、ドラムという変則リズムも効果的で、メンバー的にはやはりジェブ・ビショップががんばっているが、リーダーをはじめ他のメンバーも全員好演である。どの曲も3分〜10分で、平均すると5分ぐらいのものが多いのもミソ。リーダーのアルト奏者はリリコンも吹くしアナログシンセサイザーも弾いているのだが、全体としてはものすごーくアコースティックなサウンドで、ちょっと古めかしい印象もある。ダレる箇所もなきにしもあらずだが、ひしひしと伝わってくる意欲と情熱がそれを上回っている。