niels lan doky

「THE TRUTH」(STORYBILLE RECORDS CDSOL−6969)
NIELS LAN DOKY−BOB BERG LIVE AT MOTMARTRE

 87年のデンマークでのライヴ。発売されたとき買って、あまりにボブ・バーグが凄すぎてぶっ飛び、愛聴していたが、だれかに貸したら返って来なくて(よくある)、ずっと探していたのだ。ようやく再発になり、しかも廉価盤ということで、皆さん、凄いんで買って聴いてくださいませ。基本的にはニールス・ラン・ドーキーのリーダー作なのだと思うが、再発にあたって、双頭リーダーとしてボブ・バーグの名前が入っている。これは、ちょっとニールス・ラン・ドーキーが可哀そうな気もするが、ここでのボブ・バーグのプレイがあまりに圧倒的だということでもある。ニールスとしてはキャリアのかなり最初のころの演奏で、このあとポップなピアノトリオで大人気になる……などとだれが思ったことでせう。本作は5曲中3曲がニールス・ラン・ドーキーのオリジナルでしめられた意欲作である。1曲目はバラードかと思いきや、ゴスペルっぽい曲調のなかをボブ・バーグが吹きまくる。この輝かしい音色、ああ、ボブ・バーグやなあ! と思わず首を縦に振りまくってしまう演奏。とくに高音部のやや濁ったような太い、安定した、ハリのある音のすばらしさは筆舌に尽くしがたい。そうですよね、ボブ・バーグ・ファンのみなさん! 2曲目はスタンダードのバラードで、ここでもボブの独壇場。倍テンになってからの圧倒的な吹きまくりは思わず興奮しまくる。再発時にボブ・バーグの名前が双頭リーダーのようになったのも、この演奏を聴いたら仕方ないですよ。それぐらいめちゃくちゃ凄い。この凄まじいポテンシャルの演奏が、最後にすーっとバラードに戻っていくというのも凄いが、ラストのテナーの超ロングカデンツァも鳥肌もの。ほんまに上手いなあ。こんなひとが早くに亡くなるとはなあ。と、いつもボブ・バーグを聴くと、そのプレイが凄ければ凄いほど感傷的になる。3曲目はラテンっぽいリズムに乗ってピアノが弾きまくるイントロからボブ・バーグとピアノと掛け合いのようになったあと、テーマという変わった構成。ピアノは気合い入りまくりのソロだが、ベースも凄いし、なによりテリー・リン・キャリントンのドラムがめちゃくちゃかっこええ。ピアノソロのあと、ドラムとテナーのデュオになるのだが、ここが死ぬほどしびれまくるのである。このアルバムの白眉といってもいい。4曲目はサンバっぽいリズムのテーマ。ウッドベースが超かっこいいっす。ピアノソロのあとドラムソロになるが、これがまたいいんだよねー。そのあとボブ・バーグが吹きまくる。ラストの5曲目はベースのボ・スティーフの曲で、楽しいなかにも哀愁のある曲調。ここでも全員が活躍してアルバムはしめくくられる。いやー、やはり絶好調のボブ・バーグの圧巻のソロに尽きるアルバムだなあ。ボブ・バーグのファンはぜったい聴くべし。傑作。