fats domino

「GREATEST HITS:WALKING TO NEW ORLEANS」(CAPITAL RECORDS 509995 02351 24)
FATS DOMINO

 CD1枚にヒット曲ばかりが30曲詰め込まれているが、これでもまだ漏れてる曲があるという凄さ。ブギウギもゆったりしたブギから速いブギまでいろいろあるわけで、そこに洒落た歌ものも軽々とこなし、ジャンプしまくる曲からゆったりと歩いていくようなテンポで楽しませてくれる曲などファッツはふところが深すぎる。これらのすべてが怒涛のようにロックン・ロールへの潮流になっていたのだろうが、正直、そういうことはどうでもよくてただただファッツの音楽のすばらしさ、楽しさに身をまかせればよい。それにしてもファッツというあだ名のミュージシャンは全員すばらしい説を唱えたくなるほどで、ファッツ・ウォーラー、ファッツ・ドミノ、チューバ・ファッツ……枚挙にいとまがない。デイヴ・バーソロミューバンドとおぼしきバックの手堅さ。リー・アレンと思われるえぐいぐらい最高のテナーソロ(もっと注目してくれー)がほぼ全曲入っているので(ほんとに感動して聞き惚れる)、みんなちゃんと聞いてください。ブルースナンバーは半分ぐらいかもしれないが、歌もの形式の曲の凄さよ。しかも、ファッツの場合、ブルースでも歌ものというかポップな曲に聞こえるのだ。軽く流す曲もあれば、ガンガンのブギもあり、洒落た小唄もあり、ジャンプする曲もあり、えぐいシャッフルあり、初期ロック的な8ビートあり……しかも、それらすべてのベースにニューオリンズ風味がしっかりとあって、全曲さまざまな楽しみかたができ、飽きることは絶対ない。バラードがないのは、たぶんこのアルバムの編集方針だろう(28曲目のタイトル曲はバラード。「ニューオリンズ」というのが「ニューウォーラー」と聞こえる)。これ一枚あれば、とりあえずファッツ・ドミノを聴きたい! と思ったときの解消はできるでしょう!