snooks eaglin

「SOUL’S EDGE」(BLACK TOP RECORDS/BLUES INTERACTIONS PCD−3777)
SNOOKS EAGLIN

 人間ジュークボックス(といっても今は通じにくいかもしれないが)ことスヌークス・イーグリン。たくさんの顔のあるひとで、本作ではかなりソリッドでファンキーな演奏だが、とくにドラムのスネアが跳ねまくる8ビート、16ビートはまさしくニューオリンズだ。きびきびした正確無比なピッキングから繰り出される絶妙のフレージングの数々は聞き惚れるしかない。ボーカルも「ちょうどええ」感じでめちゃくちゃ上手いがアクは強くなく、しかし個性的ですばらしい。バラードでも映える。1曲目はファッツ・ドミノの「マイ・ガール・ジョセフィーヌ」(本作では「ジョセフィーヌ」と表記)のファンクバージョンで幕を開けるが、3曲目はなんと「リン・ティン・トン」(私はその昔、ビル・ヘイリー・アンド・コメッツのアルバムで知った)のドファンクバージョンではないか。6曲目や12曲目などのしっとりしたバラードや、インストの7曲目の怒涛の展開でもう腹いっぱいな感じだが、これでまだ半分である。なんという密度の濃いアルバムでしょうか。9曲目のようにコーラスが入っているのもロックンロールというかロカビリーっぽい感じだが、ロックンロール曲のふり(?)をしたストレートなブルースもかなりあって、そういう曲ではブルースギターが炸裂する。結局、「何でもあり」と言ってはいるが、ブルースの占める比重はかなり大きくて、スヌークス・イーグリンがブルースのひとだと思えるのはそういうところだろう。ドブルースにも(ほぼ)クリアなシングルトーンで対応し、盛り上げていくスヌークスだが、ちょっとジャズギターに近いところもあったりするのではないか(ギターのことはよくわからないので恐る恐るこう書いてみる)と思ったりした。いやー、それにしてもどの曲もめちゃくちゃかっこいいですね。11曲目にはおなじみの「アイ・ウェント・トゥ・ザ・マルディ・グラ」が入っているが、何度聴いてもいい曲はいい曲。しかし、私の耳がアホなのだろう、「アウェマディゴ(アイ・ウェント・トゥ・ザ・マルディ・グラ)」と歌っているのに、「アイウィチマリコ」と聞こえるのです。13曲目のアール・キングの曲ではひとり漫才みたいなやりとりも聴かせる。ラストの14曲目ではゴスペルも。そのあとのたぶんCDでのボーナストラックでは17曲目の教授の「ティピティーナ」がすごい。ギターとかピアノとか楽器を問わず、プロフェッサーロングヘアの影響力は広範囲にわたっているのだなあと思った。何曲かでソロをとるサックスのひと(トランペット1、トロンボーン1、テナー2というホーンセクションが入ってるが、ソロをしてるひとはだれだかわからない)がこの手の音楽のソロサックスとしてはかなりマイルドな音で歌心あふれるソロをするのが印象的です。マジで名盤というか、えげつないほどすごいアルバムなのでぜひ聴いてほしいです。傑作!