「ALONG CAME JONES」(SIROCCO JAZZ LIMITED SJL1003)
NEW YORK CONNEXION
中古でなんとなく買った、ロビン・ユーバンクスがプロデュースしている98年の作品。エルヴィン、サド、ハンクのジョーンズ兄弟に捧げる、というコンセプトだが、音楽的にはエルヴィン・トリビュートの面が強いかも。いきなり「スリー・カード・モリー」だもんなあ。プロデュースのロビンは八曲中二曲しか入ってなくて、クレイグ・ハンディが全曲で大活躍する。ジェリ・アレンが四曲入っているが、そのほかの曲はピアノレス。ただ、私の好みとしては、四曲でフィーチュアされているウォレス・ルーニーのラッパが、どうも邪魔である。あくまで好みですけどね(もちろんルーニーはめちゃめちゃがんばってます。私がトランペットが好きじゃない、というだけのハナシ。ここだけの話だが、エルヴィン系というかモードっぽい曲はあんまりトランペットに向いてないんじゃないかなあ。エルヴィンバンドでは、あのハバードですら浮いていたと思う。やっぱりテナーなのだ、エルヴィンの音楽は。でも、最後の曲(九曲目。なんとコルトレーンの「ワイズワン」だ!)のルーニーのソロは神々しくさえあって、凄い。やっぱりうまいよね)。ハードバップ系のアルバムでは真価を発揮するジョー・ロックのヴァイブも、このアルバムでは曲によってはけっしてコンセプトにあっているとはいえないように思う(でも、「アレンズ・アレイ」のソロは入魂ですばらしいし、「ワイズワン」でのプレイもすごい)。きちんとしたコンセプトのあるアルバムではあるが、個々のソロが燃焼不足というか短すぎる曲、ジャムセッション風にソロが途中でダレる曲などもあり、曲によって主役が変わるせいもあり、全体の印象はやや散漫。まあ私はクレイグ・ハンディのファンなので(彼のソロをたっぷり……というわけにはいかないが、どの曲でもすばらしい。二曲めのバラードもいいし、五曲めのソプラノもかっこいい)。傑作かどうかはわからんが、何度もくり返して聴けるし、とにかく買って損はないアルバム。でも、やっぱりサドとハンクとエルヴィンは、いかに兄弟とはいえ、音楽性がばらばらなので、このアルバムもそんな感じです。「ニューヨーク・コネクション」というのは、バンド名というか、このプロジェクトの名前で誰がリーダーというわけでもないようだが、一応ユーバンクスの項に入れておきます。