the ex

「ENORMOUS DOOR」(EX RECORDS EX138D)
THE EX & BRASS UNBOUND

「リーン・リフト」の拡大版のようなものかと思ったら、そうではなかった。リーン・リフトに参加しているふたりのギタリスト「THE EX GUITARS」の母体となっている4人組バンド「THE EX」に、ブラス・アンバウンドというホーンセクション(?)が加わった、ストレートアヘッドなロックで、ボーカルが主体の演奏である。なーんか予想とちがうなあ。タイトでファンキーでめちゃうまいのである。もっとノイズっぽい感じかと思っていた。しかし、このホーンセクションがえげつないメンバーで、ケン・ヴァンダーマーク、マッツ・グスタフソンが入っている(トランペットはロイ・パチというひとで、トロンボーンはウォルター・ウィアボスというひと。どちらもうまい)。ドラムはEXのメンバーで、ニルセンラヴではない(女性で、リードボーカルをとる曲もある)。というわけで、こういう音楽をどう聴けばよいのかよくわからんのだが、間奏部分でやたらと管楽器がスクリームしまくったり、エンディングでフリーに突入したり、かなりえぐい展開もあって、自由度も高く、すごく楽しい。一種のブラスロックみたいに聴けないこともない。なお、ジャケットにはホーンセクション4人が同時に演奏している写真が使われているが、これはライヴのときのものらしく、アルバムはスタジオ録音で、マッツのバリトンはオーバーダビングされたものらしい。ヴァンダーマークとグスタフソンがロックビートに乗ってぎゃあぎゃあ吹きまくる……というのを期待してると、ちょっと違うかもしれないけど、これはこれでかっこいいよ。クオリティはもちろんめちゃめちゃ高いし。ときにフリーキーに吠え、ときにバシッとアンサンブルを合わせるホーンセクションと暴れまくるギターたちは、音圧の凄さもあって、すごいド迫力だ。なお、4曲目だけはインストナンバーだが、祝祭日のようなお祭り騒ぎの曲で、管楽器の個々のソロはフィーチュアされません(ギターがノイジーに弾きまくるけど)。7曲目はちょっとラップっぽい。全体に英語が鮮明で、歌詞が聴き取りやすいなあと思っていたら、ちゃんと歌詞カードがついていた。