james finn

「PLAZA DE TOROS」(CLEAN FEED CF034CD)
JAMES FINN TRIO

 いや、素晴らしいにもほどがある。ジェイムズ・フィンというひとははじめて聴くが、ベースがドミニク・デュヴァルでドラムがウォーレン・スミスのピアノレス・テナートリオとなったら、これは聴くしかない。ふたりとも、ジョー・マクフィーやチャールズ・ゲイルやデヴィッド・S・ウェア、そしてアイヴォ・ペレルマンなどのフリージャズテナーの猛者たちと共演してきた凄いひとなので、絶対にこのフィンというひともすごいに決まっとるがな……というわけで聴いてみると、うぎゃー、これは凄かった。全編スパニッシュモードでテナーがゴリゴリ吹きまくり、絶叫する。スパニッシュモードでテナー吹きといえば皆ペドロ・イトゥラルデを連想するだろうが、あのひとはコルトレーン的だが、それをフリージャズにまで押し進めた感じ。とにかくかっこいい。ビブラート過多な太い音とその表現はアイラーを思わせるが、もっというと、すべてのアプローチにアイヴォ・ペレルマンやデヴィッド・ウェアと同質のものを感じる。つまり、まさに私好み……ということで、本作はひたすらスパニッシュモードで激情的な演奏を繰り広げた一種の組曲的なコンセプトアルバムだが、ほかのアルバムもぜひ聴いてみたい。同じメンバーでのライヴをはじめ、いろいろあるみたいだ。ホームページを見ると、教育活動も行っているようだが、ぜひ生で観たい。経歴は、ローランド・ハナ、ジェイムズ・ムーディー、JRモンテローズ、ベニー・ゴルソンといった至極まとも(?)なひとたちに教えを受けたわりには、フリージャズの道を突き進んでいるようだ。それにしても、スペインのひとかと思ったら、ブルックリン生まれなのだ。ということは、こういったスパニッシュな演奏は本作だけなのか? 闘牛をモチーフにしたジャケットデザインもめちゃかっこいい。写真で見ると、リンクのメタルにリンクのリガチャーで、コルトレーンをアイドルとしているというのもうなずける。傑作。