「OVERSEAS」(PRESTIGE RECORDS/OJCCD−1033−2)
TOMMY FLANAGAN TRIO
とにかく傑作なのだが、エルヴィンのブラッシュがどの曲もえげつないほどすごくて、いつもそれに聞き惚れてしまう。リーダーのフラナガンの名演はもちろんのことなのだが、ドラムがエルヴィンでなくほかの名手だったとしたら、これが数あるピアノトリオのなかで群を抜く傑作になったかどうかはわからない。日頃フリージャズとかノイズとかばかり聞いている私だが、本作を聴くと毎回毎回「ひえーっ」とひたすらひれ伏す。とにかくエルヴィンのブラッシュに尽きるのだが、それをいきいきと引き出しているのはフラナガンるきバップピアノなのである。全曲凄いのだが、1曲だけあげろと言われたら、うーん……「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」かな。エルヴィンのブラッシュの破壊力はもうめちゃくちゃ凄まじいのであります。このアルバム全体を通して、ビバップ=三連符ということを聴き手に教え込むような演奏。私は、これは個人的なことだが「リラクシン・アット・カマリロ」という曲を偏愛していて、このアルバムの演奏は理想のひとつであります。エルヴィンのブラッシュが聴きたくなったらこのアルバムを聴けばまちがいない! 傑作!<