「ALIEN SKIN」(MAHAKALA MUSIC MAHA−041)
CHAD FOWLER
チャド・ファウラーというサックス奏者はこのレーベルの主催者だが、謎の人物である。ネットで検索するとプログラマーとして有名な人物が上がってくるが、どうやらそれは別人ではなく、本人らしいのである。自身はここではストリッチとサクセロを吹いている。サクセロというのは要するにマンツェロだから、カークに対して思い入れのある奏者ということになりそうだが、先入観は禁物である。しかし、ここにつどったメンバーは、ゾウ・アンバ、イーヴォ・ペレルマン、マシュー・シップ、ウィリアム・パーカー、スティーヴ・ハーシュというかなり濃い人選で、とくにイーヴォ・ペレルマンの参加が興味を引く(だから買ったのです)。3人のサックス奏者については、それぞれ音色やプレイに個性ありまくりのひとたちなので聞き分けることは……まあ、だいたいできるような気がする(左がアンバ、まんなかがファウラー、右がペレルマンだろうと思うがどうか)。いわゆる古いタイプのフリージャズ(アコースティックなノイズをぶつけまくるパワーミュージック)なので、まさに私の好みにどんぴしゃりである。いまどきこんなオールドスタイルのフリージャズを……というひともいるかもしれないが、今は、デキシーを聴こうが、スウィングを聴こうが、ビバップを聴こうが……なにを聴こうが自由なのである。私が、こういう古いタイプのフリージャズが好きなのだからしかたがない。しかも、なんといってもベースがウィリアム・パーカーでピアノがマシュー・シップなのだから、悪いはずがない。めちゃくちゃ説得力のある演奏になっている。1曲目は全員のパワー全開という感じ、二曲目はそれぞれのデュオを上手くつむいでいく、3曲目はタイトル曲だが爆発的で異常な昂揚感のある演奏。4曲目はアンバはフルートを吹いている。約0分にわたるこの曲は圧倒的なパワーミュージックでしかも緩急があ、凄まじくも聞き惚れる。これに異を唱えるひとはいないだろうと思うぐらい壮絶な展開である。ラストは、ドルフィー的というかモンク的というか跳躍の多い冒頭部から徐々に崩れていく。ファウラーもバリバリに上手いひとであることがよくわかる。中ジャケットの集合写真はけっこう圧巻な感じではある。傑作。