fu-ching

「FU−CHING−GIDO」(FU−CHING−GIDO RECORDS FCG−001)
ふーちんギド

 オルケスタ・リブレの物販で購入したのだがいやー、もう目からうろこの大傑作だった。つーか、私の好みにぴったりのすばらしい音楽で、聞くまえの予想は完全に裏切られた(もっと、朴訥で手作り感のある音楽かと思っていた)。ひーっ、かっこいい!一曲目から魅力全開。変拍子を組み合わせた曲だが、それがまったく自然に入ってくる。しかもチューバとドラムのデュオなのに、ここまで「普通」に聴けるというのは奇跡。2曲目のサンバっぽい曲も、あー楽しいなあという感じだが、よくよく考えてみると、ドラムとチューバだけでやっとるんですよ。これってすごいことじゃないですか。じゃあ、ドラムとチューバだけでやってるということ自体がえらいだけなのか、アクロバットだからすごいだけなのか、と言われると、そんなことはもちろんない。ドラムとチューバだけ、という必然性があるのだ。ドラムはもちろんドラムなのだが、チューバはベースラインを吹きつつ、しかもそれがメロディにもなっているという離れ業を、涼しい顔でやっている。ここには音楽の原風景みたいなものがある、とまで言うのは大げさなのか。いやいやそんなことはない。ドラムのひとはほんとにすばらしいなあ。手数が多いけどそれがすべて音楽になっていて、納得。ピアニカもいい感じ。4曲目のチューバの長いラインとそれにからむ跳ねるビートのかっこよさはもはや筆舌に尽くしがたいレベル。5曲目「ペルシャの市場にて」のふーちんギドバージョンを聴くと、シンプルなリズムとシンプルなベースラインだけで十分グルーヴというのは表現できるのだなとわかる。いやいや、このデュオならシンプルに攻めるしかないでしょう、というあなた、それはまちがってます。ものすごく複雑なこともさらりとできてしまうのがふーちんギドなのだ。この曲を聴き進むと、ピアニカが入ってからは泣ける泣ける。そして、アップテンポになってからは超絶技巧の展開になる。これでもシンプルだというのか!(言ってない? 失礼しました)。最後のロックンロールナンバーではチューバにエフェクターをかけてエレキギターのように吹きまくる(フィードバックみたいに聞こえる箇所もあってすごいっす)。とにかく気に入って、一時は中毒になったみたいに毎日何度も聴いてた。今は、ほかのCDも聞かなきゃならんのでそうこればっかり聴いてるわけにはいかんが、それでも三日に一回ぐらいは聴いてる。今も聴きながらしみじみと「かっこよすぎる」「うますぎる」「たのしすぎる」……とつぶやいています。傑作、のあとにびっくりマークを100個ぐらいつけたいほどの傑作だと思います。なお、対等なバンドだと思うが、便宜上先に名前の来ているふーちんの項に入れた。