lowell fulson

「THE BLUES SHOW! LIVE AT PIT INN」(YUPITEL YR23−4003)
LOWELL FULSON WITH LEE ALLEN

 このアルバムは、私が生涯聴き続けるであろうブルースアルバムである。ロウエル・フルスンというひとの立ち位置はよくわからないが、これがモダンブルースだとしたら、私はモダンブルースのファンということになる。一曲目の「ロウエル・フルスンを紹介しまっせ」的な曲からはじまって、御大の登場……とブルースショウのワンパックを目の前で体験しているような構成もすばらしいし、録音もよくて、目の前でピットインのブルースライヴを経験しているような気持ちになる。とにかく一曲たりとも、つまらない曲がなく、聴きだしたら自然にB面ラストまで聴きとおしてしまう。なにしろ「リヴァー・ブルース」「リコンシダー・ベイビー」「トランプ」「ブルース・シャドウ」……などなど全曲フルスンのヒット曲ばかりなのだから(もちろん「ウォーキン・ウィズ・ミスター・リー」もあり)。フルスンに対してなんの予備知識もなく、学生のとき、裏ジャケットに写っているテナーサックス奏者のかっこいい写真を見てピン!と来て、躊躇することなく購入したのが、私とリー・アレンとの出会いだったのだ。え? フルスンとの出会いじゃないの? いやいや、それもそうなんだけど、リー・アレンというひとをはじめて知ったのがこのアルバムなのである。フルスンの説得力のあるボーカルとギター、そして屋上屋を架す、というか、時にそこにからんだり、ソロをしたりするリー・アレンのテナー……これはもう至福である。とにかくふたりともすばらしすぎるのだ。なにも言うことはない傑作であり、このライヴ、目の前で見ていたら失禁ものである。このアルバムでリー・アレンを知った私は、このあとニューオリンズに急速に傾斜していくのだが、それはまた別の話。