gorka garay

「EL CAZADOR DE LUZ」(QUADRANT RECORDS Q00044J)
GORKA GARAY QUINTET

 だれやねん、このひと。あるひとに推薦されて聴いたのだが、もう最高。リーダーはスペインのテナーのひとらしく、テナーとバスクラの2管がフロントというのがもう変態的である。それにスリーリズムという、ある意味オーソドックスな編成で(1曲だけギターが入る)、曲もアレンジもめっちゃかっこいいのだが、テナーもバスクラもときにはピアノも、そのソロが、なんというか妙にこねくりまわしたような、普通にはどうしても吹きたくないというか、絶対に外していく感じのフレーズを丁寧に綿々とつむいでいく。いやー、これはええわ。リーダーのテナーのひとの音が相当柔らかいタイプなので、よけいにその音で変態的なフレージングを続けられると、妙な快感が迫ってくる。普通ではまず手に取ることはなかったであろうアルバムなので、推薦者に感謝。出会いに感謝。続けて3回ぐらい聴いたのだが、これ、病みつきになるなあ。バスクラの音というのが味噌なのだ。柔らかいテナーの音色と、木の響きのするバスクラの音色によるアンサンブルで、かなりヘヴィでスタイリッシュなアンサンブルをやられると、美味しくて美味しくてたまらん感じ。凝ったアンサンブル部分と変態ソロ、そしてそれを煽るリズム……巧妙に、精巧に、考え抜かれた音楽だが、あえて雑というか奔放な部分もあって、その融合がこの「ゆるいような細かいような」絶妙の配合を生んでいるのだと思った。推薦されて知ったアルバムではあるが、私も広く推薦したいです。