「UANMORTAIM」(RELATIVE PITCH RECORDS RPR1129)
VIOLETA GARCIA/CHRIS PITSIOKOS
チェロのヴィオレッタ・ガルシアとクリス・ピッツィオコスのデュオ。ふたりともほとんどノイズしか出していないが、その集中力は凄まじく、なんとも爽快である。ジャケットを開いても、そこにはなにも記されておらず、ただの白紙である。聴き手に、先入観なく白紙の状態でこの演奏に接してほしいというメッセージのようにも思える。ピッツィオコスは相変わらず特殊奏法の限りを尽くしており、それを猛烈なスピードで組み合わせながらぶっ飛ばしている。スタイルはまったく違うが、複数のテクニックと音楽的アイデアを組み合わせて即興する、という点でマイケル・ブレッカーを連想する。思い切りのよさ、構成力、強烈な刺激、スピード感……などどの点をとっても凄いとしか言いようがない。しかも、このチェロのひととの相性は抜群で、まるで兄弟のようだ。ブツッ、と途切れるような演奏も多いが、そのあたりのクールな感じもプラスに作用している。しかし、ジャケット裏には12曲収録されていることになっているのだが、うちにあるCDには11曲しか入っていない。どうやら6曲目と9曲目に同じタイトルの曲が入っていることになっているので、最終的にミスに気づき、どちらか(たぶん9曲目のほう)を削除したのだが、ジャケットの訂正がなんらかの理由でできなかったのだろうと推察されるが、まあ、この怒涛の如く押し寄せる音の奔流のまえでは些末なことである。ところで、タイトルの意味がわからないのだが、英語に堪能なひとに教えてもらいたい。アナグラムかなにかなんですかね?