rosario giuliani

「THE GOLDEN CIRCLE」(JAND MUSIC VVJ086)
GIULIANI/BOSSO/PIETROPAOLI/DI LEONARDO

 イタリアのミュージシャンによるオーネット・コールマン曲集。ロザリオ・ジュリアーニのリーダー作かと思ったら、4者対等の「ザ・ゴールデン・サークル」というグループらしい(アルバムタイトルも同じ)。もちろんオーネットのブルーノート盤が由来であることはまちがいない。オーネットの演奏よりずっとタイトで、アレンジもしっかりしている。フリージャズ的側面はほとんどなく、彼ら自身の「オーネット」表現となっている。ファブリッツィオ・ボッソのトランペットはさすがで、全曲で冴え渡っており、歌心も感じさせるすばらしいソロを繰り広げている。アルトサックスのジュリアーニは、オーネット曲集なのに、まるでマイケル・ブレッカーのようなフレージングを自信たっぷりに吹きまくっており、めちゃめちゃ爽快である。11曲中、3曲を除いて全部オーネットの曲なのだが、こうして並べて聴くと、オーネットがいかにバラエティ豊かなコンポーザーかわかるというものだ。彼の曲は、フリーフォームな演奏のきっかけというだけでなく、こういう風に普通のバップ〜モードジャズのテーマとしても優れていることがわかる。多くのミュージシャンがオーネット曲集を出しているし、優れたものも多いが、そのほとんどはどこかしらフリーなアプローチである。しかし、こういう風にきっちりしたアドリブの素材として扱ったものは稀ではないか。そして、不思議なことに、このアルバムのように、フリーなアプローチをしないほうが、オーネットのオーネットらしさがくっきりと浮かび上がるような気がする。つまり、オーネット・コールマンはフリージャズの作曲家ではなく、ただたんにすばらしいコンポーザーである、という至極あたりまえのことが証明された。そういうことを別にしても、このアルバムはすばらしく情感豊かでスリリングな演奏が詰まっている。4人対等だと思うが、便宜上、最初に名前の載っているジュリアーニの項に入れておく。