steve griggs

「JONES FOR ELVIN VOLUME2」(HIP CITY MUSIC HC−101022)
STEVE GRIGGS QUINTET FEATURING ELVIN JONES

シアトルのテナー奏者スティーヴ・グリッグスが尊敬するエルヴィン・ジョーンズを招いて録音したアルバム。ピアノレスでギターとトランペットをくわえたクインテットである。VOLUME1も同じときに同メンバーで録音されたものだがそちらは聴いたことがない。2曲目のスタンダード以外はすべてグリッグスのオリジナルだが、いかにもエルヴィンがレパートリーにしそうな曲想で、ゆったりとしたグルーヴのモーダルな曲など、「心得てます」という感じである。聴いていると、ほんまにエルヴィンのことが好きで好きでたまらんのやろうなというのが伝わってくる。エルヴィンはいつものエルヴィンだが、最高のプレイで応えている。エルヴィンというひとはスペシャルゲストで参加すると、ときどき本当に「フツー」の演奏をすることがあるのだが、本作ではまさに「エルヴィン」である。主役のグリッグスはめちゃくちゃオーソドックスなガッツのある演奏をするひとで、けっこうアグレッシヴな領域にも踏み込むようなプレイは私の好みです。2曲目のスタンダードや3曲目のバラードなどもハードバップというよりもっと新しい処理がされていて、かっこいい。訥々とした単音で弾くギターのひともいかにもエルヴィンのバンドのギターという演奏ですばらしい。4曲目のいちばん長尺なモード曲も、もう少しはじけてもいいのでは? と思うぐらい端正なテナーソロ。でも、かっこいいのだ。たとえていえばアラン・スキッドモアとかを連想するようなシリアスな演奏。トランペットもすごくいいソロで貢献している。5曲目は全編ルバートだがそこでのドラムソロはすごいです。オーソドックスなものをベースにして自由奔放に叩きまくっている。6曲目のモーダル曲ではグリッグスはマルチフォニックス的な音を駆使してブロウしており、エルヴィンも各ソロイストのバックですばらしいバッキングをしている。事前に考えたものではなく、本当に自分のなかからあふれ出る演奏なのだろうなあと思う。ラストの7曲目もアフロな感じのモーダル曲。いやー、傑作だと思います。少なくともエルヴィン好きは聴くべきかと思う。とにかくエルヴィンはずっとエルヴィンでありつづけている。