barry harris

「BARRY HARRIS PLAYS TADD DAMERON」(XANADU RECORDS 113)
BARRY HARRIS

なんでこんなもんを聴いとるん? ときかれそうなので先回りして答えておくと、大学に入ったとき、同期のベース弾きに貸してもらい、テープに録音して、しょっちゅう聴いていたアルバムなのだ。テープはよれよれになってしまい、捨ててしまったのだが、とにかくよく聴いた。一曲目の「ホットハウス」は、テーマをまともに弾かず、アドリブから入る演奏がかっこよく、そのあとの曲も派手さは薬にしたくてもない地味な演奏だが、じわじわと心にしみる純粋バップの味わいである。聴けば聴くほど美味しい発見がある。とはいえ、今の自分にはあまり縁のない内容であることもたしかで、テナーはおろか管楽器ひとりもいない、しかもごく普通の地味なバップ系ピアノトリオ……というのはいちばん趣味から遠い演奏である。久々に聴き直してみたが、ええなあ、とは思ったものの、途中で聴く側の緊張というか興味を維持できなくなる。だって……ピアノトリオだもんなあ。