「橋渡し」(GALABOX DISK GLCX−0001)
DOUBLE AX
超ファンキーなアルバム。トランペットのワンホーンで、ファンク、R&B、ブルース、ポップなチューンを吹きまくる。そこになんの装飾もなく、ただただ?き出しのブラックネスがあり、ダンサブルなビートがあり、ドゥビダバのベースラインがあり、ワカモコワカモコというギターのカッティングがあり、そのうえに乗るドストレートなラッパがある。このシンプルさ! めちゃくちゃレトロな気分をくすぐる、超直球勝負な音楽で、聴くたびになんか心の奥の奥の奥の奥のひだをくすぐられる。ニューオリンズやシカゴ……みたいな、行ったことのない街の古い古いライヴハウスに思いをはせたり、日本の夏祭りのことを考えたり、多くのホーンセクション付きのファンキーブラスロックのことを考えたり、ちらりとマイルスのことを思ったりもするような、そんなアルバム。ああ素朴、ああブルース、ああポップ……こういう「口ずさめる」曲、「口ずさめる」ソロ……はここまで徹底したものはなかなかないと思う。キャッチーすぎるぐらいキャッチーな曲が臆面もなく並び、「どや!」と主張しているようだ。かっこよすぎます。ベースラインを聞いてるだけで顔がほころびる。ギターもみんなすばらしい。そしてトランペットは、ああ、そうだ、トランペットってこういう吹き方もあったのだと根源的なものを思い起こさせてくれる。クラシカルなものとはまるでちがうが、原初の衝動を感じるような「ラッパ」だ。金管だ。ブラスだ。聴いていて、拳をぐーっと握りしめたくなるような快作。橋本さんと渡辺さんの双頭バンドだと思うが、便宜上、先に名前の出ている橋本さんの項に入れた。