john lee hooker

「JOHN LEE HOOKER SINGS BLUES」(KING VS−1030)
JOHN LEE HOOKER

 この日本盤が出た当時、凄いものが出た! とたいへんな大騒ぎになっていて、ジョン・リー・フッカーのことなどほとんど知らないままに購入(「ブルース・ブラザーズ」で「ブーン・ブーン」を演っている場面は観ていたが、それだけ)。なんというんですか、エレキギターがガッ、ガッ、ガッとリズミカルに掻き鳴らし、だみ声で歌い、唸る。スピーカーの向こうに化け物がいるみたいな、圧倒的な存在感だ。ジョン・リーはギターブギーのひとだが、いわゆるブギーではない。ブルース進行の明るいブギウギではなく、ワンコードで大きく刻み、そこに唸り声をのっけいてく、独特の世界である。なかにはドラムが入ってたり、ピアノが入ってたりする曲もあるのだが、ギター一本のほうがよい。このアルバムに味をしめて、ほかにもいろいろ買ってみたが、このアルバムのどす黒さというか、ど迫力をこえるものはなかった。めちゃくちゃええかげんなジャケットデザインも含め、ほんと凄いアルバムである。

「THE BEST OF JOHN LEE HOOKER」(VEE JAY 20YB−2053)
JOHN LEE HOOKER

「ブルース・ブラザーズ」ではじめてジョン・リーを聴いてびっくりした、あの「ブーン・ブーン」が入っている、ということで買ってみたのだが、キングの「シングス・ブルース」あたりと比べて、あまりにきっちりした、なんというか「商品化された」感じの演奏なので別の意味で驚いた。ワンコードブギーではなく、ちゃんとしたブルース進行のものもあるし、とにかくバックバンドがきっちり伴奏していて、まるでシカゴブルースみたいである。スローブルースもきっちり歌っていて、やや迫力には欠ける。しかし、「ブーン・ブーン」はやはりかっこいい。