「LIVE AT THE SENATOR」(JAZZ COMPASS JC1006)
THE STEVE HOUGHTON QUINTET FEATURING PAT LA BARBERA
リーダーであるこのドラマーは知らないが、カナダのひとだろうか。パット・ラバーベラが入ってるし、ライヴなので買ってみた。こないだ聴いた同じレーベルのラバーベラのリーダー作「クロシング・ザ・ライン」があまりによかったので、本作にも期待したが、期待は裏切られることはなかった。ほぼ全曲、モンク、ショーター、ティモンズ、ウディ・ショウ……といった有名ジャズマンのオリジナルで、スタンダードは「オールド・フォークス」のみ。リーダーをはじめ、メンバーの曲はなし、と書くと気楽なセッションアルバムと思うかもしれないが、じつはどの曲もアレンジがかっちりしており、周到なしあがりである。ソロも熱く、とくにパット・ラバーベラはどの曲でも凄いソロを展開していて、彼だけ聴くだけでも本作を買う価値あり。ラッパのクレイ・ジェンキンスというひとは、ハードバップから新主流派までさまざまなモダントランペットの影響を吸収してきたようで(たとえばハバード、ウディ・ショウ、トム・ハレル……)、鋭さはないがなかなかがんばっている。このアルバム、全体として、じつに熱く、かっこよく、しかも細部にまで気持ちに行き届いた、最良のハードバップになっており、言うことなし。収録時間は70分とお買い得。このジャズ・コンパスというのはカナダのレーベルらしいが、ハードバップファンは見逃せないですな(私は、ハードバップファンではないから見逃すけど)。レーベルのホームページを見て、はじめて知ったのだが、ラバーベラ兄弟には、テナーのパットとドラムのジョー以外にジョン・ラバーベラというコルネット〜アレンジャーがおり、彼もこのレーベルで2作、自己のビッグバンドアルバムを出している。へー、そうだったのか。