「ASYNCHRONOUS」(SLAM SLAMCD283)
FRED VAN HOVE・PAUL DUNMALL・PAUL ROGERS・PAUL LYTTON
フリージャズ界の雄で古参といっていいフレッド・ファン・ホーフが(どちらかというと)若手を集めて作った、まさにオーソドックスなフリージャズ作品。個人的にはポール・ダンモールがなにをしてるのかなあというのが興味の中心だったわけだが、やはり基本的にはピアノが前面に出て活躍する内容。でも、ほかの3人もほとんど同格といっていいぐらい対等に扱われている(ような気がする)。パッと見たら、テナー、ピアノ、ベース、ドラムという完全にごく当たり前のカルテット編成なのだが、どうしてそれがこんなぐちゃぐちゃになるの? といいたくなるほどアブストラクトで混沌とした音がこれでもかと続く。しかし、その交感は、昔のフリージャズとはまるでちがっていて、繊細で深く、力強い。また、アブストラクトといってもそれは全体の印象であって、個々には、逆に非常に具体的なアイデアのやりとりがすごいスピードで行われている。現在のフリージャズ〜フリーインプロヴィゼイションシーンではあたりまえのようにこのことが、フレッド・ファン・ホーフやポール・リットンといった古手たちによってやすやすと行われていることが新鮮だ。メンバーのなかではやはりダンモールが光っている(ような気がする)。