「BOBBY HUTCHERSON LIVE AT MONTREUX」(BLUE NOTE TOCJ−50506)
BOBBY HUTCHERSON
ずっと聴いてみたかったが、入手できず、持ってる知り合いもおらず、ジャズ喫茶などにもなく、聴きたい聴きたい聴きたい聴きたいと思って恋いこがれていたアルバム。やっと聴けた。正直言って、めちゃめちゃええに決まっとる、とは思っていた。絶頂期のハッチャーソンとウディ・ショウですよ。しかもライヴですよ。ぜったいおもろいやろ、と確信はしていたが、いやはやここまですごいとは。もう感無量。めちゃめちゃええ、どころか、めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃええやないですか! これはハッチャーソンのファンは死んでも聴かないといけない作品だし、ウディ・ショウのファン(私のこと)もなにをおいても聴かねばならない作品だが、70年代モードジャズを愛するひとは、とにかくだまされたと思って聴いてほしい。ジャケットが、完全にやる気のない髭面のおっさんの顔のどアップで、これはしょうもないんとちゃうか、とおもうひとは値段を見よ。999円ですよ。こんなすごい演奏がたった999円とは……世の中まちがっとるよ! さあ、買いなさい。買うのだ。私を信じなさい。4曲入ってるが、メンバーのやる気がひしひし伝わってきて怖いぐらいだ。5人が躍動しまくり、ガンガンいく。そう、ガンガンいくという言葉がぴったりだ。1曲目はハッチャーソン作曲のゆったりした曲で、けっこう難しい進行のように聞こえるが、ハッチャーソンは5連符や怒濤の3拍フレーズの連打につぐ連打で異常な昂揚感を作り出す。汲めどもつきぬフレーズの宝庫で、なんぼほど出てくるねんと呆れかえる。つづくショウのソロは絶頂期にふさわしい、凛とした、一音一音に気迫と魂がこもったもので、複雑なフレーズとシンプルなフレーズを混ぜて攻撃。2曲目はおなじみ「ムーントレイン」で、この曲もサビが難しいのは皆さんご存知のとおり。ウディ・ショウのソロはアイデアが明確で、しかもそれをちゃんと吹きこなすから聴いていて気持ちがいいし、爽快感がある。つづくハッチャーソンのソロが凄いです。めちゃ速の3連符を延々まくしたてる(そんな感じ)部分は、聴衆も固唾を呑んでいるのがわかる(ような気になる)ほど。それにしてもリズムがめちゃくちゃいいなあ、ハッチャーソンは。ぜったい乱れたりしないですな。これこそ70年代ジャズだ。だれだ、70年代のジャズは低迷していたとか抜かしたやつは。ほんと、耳が腐ってるとしか思えん。俺も腐ってるけど。3曲目はハッチャーソンの曲で、凝った構成があり、アドリブのときもバックもそのとおりにバッキングするので、ソロイストはよほどがんばらないといけないわけだが、もちろんショウもハッチャーソンもなんなくこなし、滅茶苦茶盛り上げる。4曲目はまたしてもショウのおなじみの「ソング・オブ・ソングス」で,ハッチャーソンもショウもなにからなにまでかっこいい。ほんのちょっとした音の持ち上げ方とか、ベンドとか、バッキングの「間」とか……ぜんぶ好きっ。好き好き好き好き好きっ好き。愛してる。エンディングにいたる部分のショウも超かっこいい。4曲全部、均等に凄いのだ。そのこと自体驚くべきことではないか。これは、ぜったい傑作だと思っていたが、やっぱりなあ。これが999円か……。私にとって、ブルーノートのハッチャーソン作品のなかでもダントツ一位です。ただし、ライナーノートの文章は常套句が羅列されているだけでなにも伝えていないも同様なので、驚いた。