「コンボ・ラキアスの音楽帖(A MUSIC BOOK OF COMBO RAKIA’S)(PUFF UP LABELS/VIVID SOUND PUFF−102)
飯島晃
飯島晃氏の1988年から1990年にかけて作曲したものということだが、メンバーが近藤達郎、篠田昌巳、向島ゆり子、清水一登、れいちなのでさまざまなジャンルのリスナーが「聞きたい聞しきたい」と思うだろう。そして、内容もそれに応えるすばらしい内容である。夢のような……というと語弊があるだろうか。そういう表現をしたくなるほど、うつつと夢の境目をさまようような曲調のものが多いが、飯島のギターの強い(?)意志を感じる単音はもとより、篠田昌巳(ここではソプラノしか吹いていないらしい)のサックスがまさにあの世から誘うような透明感のある、サックスというかどこか遠い異国の民族楽器のような音色、表現をしていてすばらしい。基本的には飯島のギターとその伴奏という感じではあるが、水の泡のように現れては消えるそれぞれが残していく音の残照が美しく、心に残る。そう……これは「水」なのだ。この曲調、しかも、音のつなぎ方、重なり方などにすごく特徴があるにもかかわらず、その透明感が維持されるような楽曲……演奏者がだれであるかによって大いに左右されると思われるが、幸いにも最高の人選でこれらの曲はこうして世に残った。すべて打ち込みです、とか宅録です、とか言われてもできるようなものに思うひともいるかもしれないが、このヴァイブレーションは人間同士の絡み合いだと思う。すばらしい。