「こだま」(AI RECORDS AIR−001)
池田安友子
パーカッションソロ。長野県の自然のなかで録音されたもので、自然音が入ってくる(とくに鳥の声とか水音はやかましいぐらい入ってる。別録りで強調されているのかもしれない。パーカッションも一部重ねていると思うがそういう曲にこのひとの構築美を感じる)。自然音とセッションしているのでもなく、対峙しているのでもなく、自分も自然のひとつのパーツなのだという感じでの演奏なのがいい。1曲ごとに叩きものを変えているが、どれも楽しい。単にカラフルなだけでなく、基礎がしっかりしていて、ジャンベはあくまでジャンベらしく、コンガはコンガらしく、スネアはスネアらしく叩かれている。ダイナミクスも繊細で、そして、なにより歌心があるので聞き飽きないし、リズムが心地よいので、いつまでも聴いていられる。一定のビートがずーーーーーっと流れているもの、ビートがどんどん変わるもの、さまざまだが、どれも美しい。そして、叩いていない無音の部分もリズムに満ちている。こういう音楽を癒し系というひともいるだろうが、いわゆるBGMになるようなタイプの演奏ではなく、ぼーっと聴いていると、ときどきズバッと切り込んでくるような箇所もあるので要注意。どの演奏も、聴いていると勝手にそのリズムに乗せて歌やメロディーを口ずさんでしまうような「乗せられ感」がある。仕事に疲れたときにまた聴こう……って、それやっぱり癒しとちゃうのん。いえいえ、なごみです、なごみ。