「OTHER VIBRATIONS」(INFINITE SOUNDS CFM−01)
KAZUHIRO INOUE
DJの井上氏がチョイスした音源を編集したアルバム。こういうのはサンプラーというのでしょうか。この選曲がもう絶妙で、いやー、私はこのアルバムを聴いて、はじめてDJというのは凄いなあと思った。全部、ばらばらのミュージシャンなのに、聴いていくと、まるでひとつのグループの演奏のように思える。しかも、曲と曲のつなぎ目もぼーっと聴いているとわからないぐらい、曲と曲の関連付けがすごくて、全体がひとつの組曲のように思えるほどだ。1曲目が阿部薫のソプラニーノソロではじまり、そのあとリズム主体の演奏にじわじわと移行していく感じがなんともいえない手腕だと思う。かなりさまざまな音源が使われていて、なじみ深いものも初聴のものもあるが、違和感というものがまったくないし、これは完全に井上さんの「作品」だなあ。ブレンドの見事さに舌を巻きました。DJというのはこういうことをする仕事なのかと認識いたしました。阿部薫、富樫雅彦、サン・ラ、ン・ブーム・パーカッション、ドン・チェリーなどの猛者をそろえて、このミニマムミュージックっぽさというか心を洗われるようなサウンドと、心地よいグルーヴがずっと持続するというのは、このひとは音楽を古い新しいとかビートとかで分けたりしない、本当に本質をつかんでいるのだなと思った(うえから目線のようですいません)。毎日聴きたいような作品。