「SKIES OF EUROPE」(ECM1543 527 181−2)
ITALIAN INSTABILE ORCHESTRA
いやはやびっくらこきました。ウィーン・アート・オーケストラを最初に聞いたときもびっくりしたが、この作品はそれ以上の驚き。このアルバムが、私にとっての初「インスタビレ」なので、本作がインスタビレオーケストラとして、どういう位置づけにあるのか、ほかのもこんな感じなのか、それとも異色作なのかはわからないが、とても楽しめました。日本人としての耳で聴くからなのか、先入観があるのか、とにかくヨーロッパ的にきこえる。いわゆる組曲風になっていて、二曲の組曲が収録されている。アレンジは、ちょこっとジャズ的な要素もあるし、ワールドミュージックというかラテンぽいものも、クラシカルなものも、フリーな感じのものも、大道芸やチンドン、ブラスバンド的なものまで多種多様ではあるが、全体としては、クラシックというより、ポップスオーケストラとか映画音楽みたいな雰囲気に思える。とにかく、フルオーケストラであったり、フルバンであったり、室内楽的カルテットであったり、デュオであったり、サックスアンサンブルであったり……めまぐるしく編成もかわるし、聞き飽きない工夫がほどこされているが、そういうなかで、凄腕のソロイストたちが要所要所に吹きまくる……という、ゴージャスきわまりない展開。たとえば、メンバーのなかで知っているのは、カルロ・アクティス・ダートをはじめ4人ぐらいで、あとは全然知らないんだけど、たぶんめちゃめちゃ有名な人たちなのであろう。ピノ・ミナフラ(と読むのか?)というトランペットの人には驚いた。超ハイノートで延々吹きまくるので、チェロかバイオリンがフリーに弾きまくっているのだとばかり思っていたら、最後にラッパの音域におりてきて、うわーっ、金管かあっ、とひっくり返りそうになった。しかし、全体を通しての印象は、アグレッシブで挑戦的な、良質の前衛ジャズを聴いたときと同じなのである。ああ、来日公演に行くべきだった。ちょーくやしー。