「JAZZ FLAMENCO VOLS.1 Y 2」(BLUE NOTE 853933)
PEDRO ITURRALDE
ずっと聴きたかったアルバムが、再発されたのでただちに購入。これはすばらしい! いってみれば、全曲が「オレ!」あるいは「スケッチ・オブ・スペイン」のようなもので、ひたすらスパニッシュモードの曲が延々と並ぶが、それがなぜか飽きない。考えてみれば、それは当然であって、たとえば沖縄音楽のアルバムは全編沖縄音階だが、飽きることなどないように、「ちょっとスパニッシュ・モードを取り入れてみました」的な演奏ではなく、本物の熟達のスペイン音楽のプレイヤーで、ジャズもめちゃめちゃうまい連中が真摯に取り組めば、全部スパニッシュモードでもまったく問題ない。それどころから、もっと聴いていたくなるほどに、ずぶずぶと首まであの国の音階に浸ってしまう。パコ・デ・ルシアの参加が、ジャズファン的には目玉なのかもしれないが、やはりなんといっても主人公のテナー、ソプラノがすばらしい(とくにソプラノのコントロールは見事)。スパニッシュモードのなかで縦横無尽にメロディーをつむぎあげ、息をもつかせぬ迫力はまさに最上のスペイン音楽であり、かつ最上のモードジャズ。めちゃめちゃ気に入りました。