ronald shannon jackson

「WHAT SPIRIT SAY」(DIW RECORDS DIW−895)
RONALD SHANNON JACKSON’S DECODING SOCIETY

 デコーディング・ソサエティはサックスがいまいち私の好みではない場合が多くて、基本はゼイン・マッセイである。最初期はバイアード・ランカスターで、後期はエリック・パーソンが入ってたりするのだが、本作はなんとジェイムズ・カーターなのだった。というわけでホクホクして聴いてみると、なんというか、シャノン・ジャクソンがデコーディング・ソサエティというバンドで結局なにをやりたかったのかはいまだによくわからず、曲によっては普通のジャズだったり、普通のフュージョンだったり、普通のロックンロールだったりするわけだが、ジェイムズ・カーターという「上手い」テナーが入ると、本当になんでもできてしまうので、かえって「普通のバンド」みたいに聞こえてしまう。本作も、ジェフ・リー・ジョンソンのギターが、いい感じにノイズをぶつけてはいるが、それ以外はめっちゃちゃんとしたジャズに聞こえる(じつは、ジェフ・リー・ジョンソンもなんでもできるひとではあるのだが)。カーターのテナーに限っていうと、いや、もう、いつもながらにかっこいいとは思うが、デコーディング・ソサエティというバンドにあって、ストレートでオーソドックスでパワフルで……という演奏は、妙にはまっていて逆にいまいち肩すかしではある。シャノン・ジャクソンというひとがなんーにも考えていなかったのか、それともこういうサウンドを欲したのかあんまりよくわからないところではある。音楽としてはすごく楽しいし、カーターも含めて全員ブリブリなので、聴いて損はしません。