「LIVE AT THE OLYMPIA−JUNE 27.2012」(JAZZBOOK RECORDS/JAZZ VILLAGE JV570053.55)
AHMAD JAMAL FEATURING YUSEF LATEEF
アーマッド・ジャマルには正直言ってなんの興味もなかったので、私の関心のほとんどはユーゼフ・ラティーフにあった。録音当時92歳。二枚組だが、ラティーフは二枚目にしか参加していない。しかし、その存在感は圧倒的で、とにかくわけわからん。オーネット・コールマンも最後までわけわからん音楽家として生涯を全うしたが、ラティーフもそうだと思う。最後まで、首尾一貫してその変態的なアプローチを崩さなかった。えらい。えらすぎる。これは82歳と92歳のふたりの老人ジャズミュージシャンが、いかにすばらしい音楽を創造できるかを世界中に思い知らしめた作品である。ジャマルが主役の一枚目は、洒脱で穏当だがかっこいいピアノジャズとして進行していくが、二枚目でラティーフが登場すると音楽的にも一変してしまう。ラティーフは、テナーだけでなく、フルート、ヴォイス、笛みたいなやつ……などを駆使して(つまり、いつもどおり、これまでどおり)、ラティーフにしかできない世界を惜しげもなく、というか、容赦なく繰り出して、感動を呼ぶ。残念ながらラティーフはこのコンサートの一年後に亡くなったが、ジジイでも演奏できる! ではなくて、ジジイでもクリエイティヴな演奏ができる! ということをアピールしたという点で、すべての人間に勇気と希望を与えたのだ。おまけのDVDがこれまた良いのです。ジジイのパワーに脱帽せよ!