「JAZZ OF THE 80’S」(東芝EMI EWJ80190)
AUREX JAZZ FESTIVAL ’80
この信じがたいほど豪華絢爛なグループが来日したとき、私は生で見に行ったのだ。そう、オーレックスジャズフェスティバルの第一回のことである。えげつないでしょう? テナーが3人、しかも、ジョー・ヘンダーソン、ジョー・ファレル、マイケル・ブレッかーですよ。トランペットがフレディ・ハバードとランディ・ブレッカー。これだけでもすごいのに、リズムセクションもビビるぐらいすごくて、ギターにロベン・フォード、キーボードにジョージ・デューク、ベースにアルフォンソ・ジョンソン、ドラムにピーター・アースキン、パーカッションにドン・アライアス……まさに夢のようなメンツである。しかし、よく考えると、けっこう水と油、というか、有名なミュージシャンをとにかくいっぱい集めたようにも思える。しかし、これが意外とうまくいったのだった。たとえば、フレディ・ハバードやジョー・ヘンダーソンをフィーチュアしたパート、ブレッカー・ブラザーズのパート、ロベン・フォードやジョージ・デュークをフィーチュアしたパート、ジャムセッション的パート……などなど、曲によってそれぞれに見せ場が用意されていて、飽きない工夫もされている。とくにブレッカーブラザーズの「ストラップ・ハンギン」におけるマイケル・ブレッカーのソロは砂嵐が巻き起こるような異常にテンションの高い超絶技巧による演奏で、とにかく吹きまくり、聴いていて呆然とするほど。オリジナルバージョンよりも凄まじくて、まさに圧倒的。当時は学生テナー奏者はみんなこのソロにぶっとび、ブレッカーファンとなったのだ。オーレックスジャズフェスのライヴはいろいろ出ているが、なかでももっとも音楽的な価値のあるアルバムではないかと思う(ほかにもベニー・カーター〜スイーツ・エディソンのものもいいですね)。一見、大味な企画のようだが、よくぞここまでグレードの高い演奏ができたもんだと感心するが、そのあたりはさすがにスタジオをバリバリこなすひとたちだ。傑作。