per texas johansson

「ALLA MINA KOMPISAR」(KAZA EMI7243 4 07519 2 7)
PER TEXAS JOHANSSON

 このテナーの人は、たくさんアルバムを出しているらしいがよく知らない。聴いたのはこの盤がはじめて。買った当初に聴いたときは、購入店のポップに、ドルフィーがどうとかカークがどうとか書いてあったので、そういうタイプの演奏かと思っていると、案に相違してえらく「まとも」だったのでいまいちぴんとこなかったが、今回聞きなおしてみて、その良さに驚いた。ピアノレスで、テナー、バリトン、 クラ、バスクラ、コントラバスクラを吹くテキサス・ヨハンソンと、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンを吹くフレドリック・ルンビスト(と読むのか?)の2管編成。この2管がどっちも超強力で、ヨハンソンは、テナーではあだ名のとおり、テキサステナーのようなぶっとくファンキーな音でごりごり吹きまくるが、クラリネットを手にすると、どう聴いてもソプラノサックスとしかおもえないフレーズを吹く。それも、「クラリネット奏者がコルトレーンの世界に挑戦しました」とかいうのとはレベルがちがっていて、あきらかにリーブマン、グロスマン以降のソプラノのフレーズを完全に自家薬籠中のものにしており、ちょっと聴いただけではクラリネットかどうかわからない。もうひとりのサックス奏者もすごくて、ふたりのバリトンバトルなど聞き物である。今回聞きなおして感じたのは、このふたりがやりたいのは、ドルフィーとかカークとかではなく、ウエストコーストジャズなのではないかということ。2管のバランスのとれたアンサンブルと強烈なソロの対比はじつにすばらしい。曲も全部よくて、リズムセクションも強力。愛聴盤です。