ed kelly

「ED KELLY AND FRIEND」(THERESA KTIC−1007)
ED KELLY AND PHAROAH SANDERS

 ファラオはがんばっているが、この時代のテレサのやつは「ライヴ!」と「ハート・イズ・ア・メロディ」をのぞくと、評価の高い「ジャーニー・トゥ・ジ・ワン」や「リジョイス」もそれほど心を打たない。あまりにしっかりした、用意周到な作品だからだろうか。ファラオが、フツーにちゃんと吹けるひとなので、そのあたりに焦点を当てたジャズ的に立派な作品は、クラブジャズの人に任せておけばよい。このアルバムもそういう感じで、モード一発のいかがわしい演奏だけでなく、バラードも吹けるし、チェンジのあるバップ系の曲も吹けるし、泣き節も吹けますよ的な演奏で、やや物足らん。ファラオはかなりがんばっていて、個人的には「おおっ」と熱くなる場面も多々あるのだが、正直、なんか、タイトルがもうすでに嫌なのだ。フレンドってなんやねん。まあ、そんな細かいところに噛みついてもしかたがない。エレピ、ホーンセクション、ストリングスなどを使ってる、このゴージャス感も「ジャーニー・トゥ・ジ・ワン」とか「リジョイス」と似てるよなあ。1曲目など、ファラオがなにもしないうちにフェイドアウトだし、2曲目もキャッチーなバラードのテーマを吹くだけ(こういうのもやれば上手いからなあ……)、3曲目は「ユーヴ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・フリーダム」の初演だが、のんびりしたテンポで、ファラオががんばって咆哮してもバックは熱くならないし、ピアノソロもめっちゃ普通だし、なによりもあの冒頭のAのフラジオのリズミックな連打によるイントロがないのだ。まだ、この時点ではアレンジが固まっていなかったというか、あの部分はもしかしたらライヴの最中とかにフッとでてきたフレーズを後付けで曲に加えたのかもしれない。でも、ファラオのひとりのがんばりでなかなか感動的な演奏にはなっている。ここで思うのは、リーダーのエド・ケリーというひとは案外、ファラオの音楽性を理解してないのではないか……と思ったりして(まあそれはないか)。4曲目はケリーのピアノソロ(シンバル?だけが途中からリズムをきざむ)。5曲目はファラオはソプラノでひゃらひゃらとメロディを吹く曲。6曲目は16ビートでファラオがゴリゴリ吹きまくる。この曲あたりが本作ではいちばんファラオらしい表現かもしれない。7曲目はバラードでこれもいい演奏。なお8曲目以降、12曲目まで、かなりハードバップ寄りの演奏になり、ファラオもコード分解的なバリバリのバップフレーズを吹き、それが案外上手いので感心してたら、これはロバート・ステュアートというまったくべつのひとだった(CD化に際して付け加えたらしいが、いらんことするなあと正直思います)。LPで片面ずつ聴くのがちょうどよかった。