makoto kikuchi

「THE DISTANCE MUSIC REMAINS」(TALKINGINKO 003)
MAKOTO KIKUCHI

 菊池誠のソロライヴ。YOUTUBEで映像を見たときは、もっとアグレッシヴでむちゃくちゃな演奏だったような印象があるが、こうして音だけ聴くと、意外や意外、ものすごーくちゃんとしていて驚いた。ギターとループマシンを使った変拍子の繰り返しのリフのうえにギターソロが乗るというのはひとりプログレなのだろうが、やはりそういう部分は私のプログレ的素養がないせいかすごくまともで安定しているように思える。どの曲もテルミンが入ってくると急にむちゃくちゃさが上昇する。テルミンというのはかなりの破壊力があるのだ。ギターももっとテルミンぐらいでたらめに弾いてくれればいいのにと思ったが(すいません)、それはこの音楽の主旨(?)とはちがうだろう。3曲目はすごい大作で聴きごたえあり。4曲目はフォークっぽい曲だが、やはりテルミンが入ってきてからが面白い。フォーク〜ハードロックっぽい5曲目では歌(?)が聴けます。これもテルミンが入ってくるとにわかに変態的+野蛮になって私の好みになるのだ。そういう意味ではラストの曲がグロくて壮大で狂気を感じて一番楽しかった。ここでのテルミンは、なにかを訴え、叫ぶように響いていて、一瞬ダクソフォンを思い出した。可能性に満ちた演奏であることはまちがいない。なお、マネトロンというのはメロトロン風の音が出せるスマホアプリらしい。