「FREDDY KING SINGS」(OLDAYS RECORDS ODR6015)
FREDDY KING
超かっこええ、言うまでもないフレディ・キングの名盤。レコードを持っているのだが、廉価盤が出たので購入。「ハイダウェイ」は入っていないが、「シングス」なのでしかたがない(大ヒット曲「ハイダウェイ」はインスト)。ブルースには本当に疎い私だが、考えてみれば大学一年生のときに先輩からサン・ハウスとルイ・ジョーダンについて教わり、それ以来ぐだぐだと聴き続け、いろいろライヴも観てきたので、それなりになんやかんやと聴いているなかで、このアルバムは至宝のひとつである。「シングス」などというが、やはり耳が向くのはそのギターであって、このアルバムの曲はどれも録音がよく、ギターが適度に「生」でとらえられているような気がする。アコースティックとエレクトリックの中間という感じか。そういう「音」で弾きまくられるフレージングの快感は筆舌に尽くしがたい(ボーカルもだが)。コーラスなども配される、けっこう金のかかったデビュー作だと思う。しかし、なんといってもフレディのギターの鋭さ、歌心、ブルース魂などはそういうことを突き抜けてズバーン! と伝わってくる。やっぱりギターだよなあ……と言いながら私は聴いている。ボーカルももちろんいいのだが、ギターが良すぎて、ひとりの人間がこれを同時にやっているというのは驚異としかいいようがない。三大キングがどーたらこーたらという文章にはなんの意味も感じないが、ちょっと遠い録音がかえってリアルで、バリバリ弾きまくるギターが一番かっこいいです。ギターの音がすごくええ音に録れている。ボーカルもすばらしいと思うし、ギターとボーカルのひとりコールアンドレスポンスもいいと思うんだけど、やっぱりギターやなー。世間では、BBキングの影響が強い、ということだそうだが、まったくブルースもギターもわかっていない私の感想としてはスクイーズして泣かせるBB、スクイーズの妙技でフュージョンのように歌いまくるアルバートに比べて、フレディ・キングの硬い音はペケペンペンという感じでTボーンみたいに聞こえるが、泣かせる部分もあってすごい。バンド全体のリズムもめちゃいいので、聴くたびに拳を握りしめてしまう感じ。オーティス・ラッシュ、バディ・ガイ、マジック・サムみたいな暗さというかキーッとなる感じがあんまりないのも三大キングの特徴か。とにかく楽しく聴けます。1目とかはテナーがめちゃくちゃ利いていてジャンプブルースのようだ。間奏のテナーもめちゃかっこいいんだけど、誰なんでしょうね、当時キングにいたひとって。コーラスが入る曲もあって、キングがフレディ・キングを全力で売り出そうとしていたのがわかる。裏ジャケットにジョン・リー・フッカーの「シングス」、アルバート・キングの「ザ・ビッグ・ブルース」、アニー・K・ドゥの「マザー・イン・ロウ」、ジョニー・ギター・ワトソン……などとともにズート・シムズ、クリス・コナー、ニーナ・シモン、アール・ボスティック……などのジャケットも紹介されていて、当時のキングの凄さがわかる。「ええ曲ばっか!」の大傑作です。