今から日本語ライナーにだめだしをします。まず、決して多くないスペースの3分の1を、このトリオがEP盤のB面である、という話にあてている。意味がよくわからんなあ。ケニー・バロントリオと同じメンバーで、リーダーを変えただけ、ということについて、どうしてレコードのA面B面という話を持ち出したのかさっぱりわからん。普通、EP盤のA面B面っておなじ人がリーダー(?)でしょ。メンバーは同じだが、リーダーが替わるだけで、別の局面が見える、ということがいいたいのだったら、そういうのは「例」にならんわな、普通。。それにそういう書き方は、なんだかケニー・バロンをもちあげて、北川をけなしているような印象になってしまうことをわかっているのか(名目上のリーダーにすぎない、というようにも読める。たぶん書いたひとの意図はそうではなく、このトリオをほめようとしているのだろうが、大失敗じゃないですか?)しかも、そんなこと二行もあれば書けるのに、どうして3分の2もスペースを費やすのかわからん。単に文章がへたなだけか?(たぶん、そう) あと、「スタンダードをおりまぜた選曲にも現れているリラックスぶり」云々とあるが、さっきも書いたように、スタンダードナンバーは10曲中1曲だけ。こういう書き方だと、10曲中4、5曲はスタンダード、それも「枯葉」とか「マイファニーバレンタイン」みたいな、よくある曲がならんでるような感じに読めるし、もしかしたらショーターやダメロンの曲を「スタンダード」といいたいのか? そんなこと普通言わんやろ。だいたい、10曲中4曲をオリジナルでかため、ショーター、ダメロンといった一癖あるジャズマンのオリジナルを2曲ずつ採用した選曲をみて、北川のこのアルバムに対する姿勢を読み取れないようなことではまるっきりアカンのでは? 「オリジナルを中心に、ショーターやダメロンのナンバーをくわえた意欲的な選曲」ぐらいのことは書いてほしい。それに、この書き方だと、このアルバムの選曲姿勢がなぜか「リラックスぶり」につながるようだが、この心地よいテンションの持続する演奏を聴いて、そういう文章が出てくるのは信じられない。そして、どこにも北川のプロフィールが書いていないが、自分で初リーダーアルバム(「ソロ」はどうなったのだとも言いたいけど)と書いているのだから、その奏者のひととなりや音楽遍歴や現在の状況などをちゃんと書いてほしかった。はじめてこのアルバムで北川のプレイに接する人も多いわけでしょ、初リーダー作なんだから。そんな情報は不要というなら、B面がどうこうといったくだらぬ文章こそ不要ではないか。あと、ケレン味がなく的確で力強い、というのも、私の考えとちがう。北川のベースは昔から、「ケレン味があって的確で力強い」と思う。適度なケレン味というものがある程度はジャズミュージシャンに必要な要素であり、昇華すれば個性につながることはまちがいないと思うが、「ソロ」を熟聴してもそのことはあきらかでは? あと「文字通り予期せぬプレゼント」というのは何を言いたいのだろう。結局、通読しても、なんの情報も得られないばかりか、読者を誤読にさそう文章であるように思う。どうしてこんな無意味なライナーがついているのか、ほんと理解に苦しみます。